動物の排泄物の糞に発生する菌類は、今までに多くの人たちによって研究されてきました。私たちも菌類観察で野山に入ると野生動物の糞に発生した菌類を観察することができます。野山で見られる野生動物糞はシカやカモシカ、ノウサギ、クマ、タヌキ、イタチ、テン、ネズミ等が見られます。家畜のウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウサギの糞にも多くの菌類が発生します。鳥類や昆虫の糞にも菌類の発生が知られていますが、動物の種類によって発生する菌類は多少異なります。
動物の糞には細菌、放線菌、粘菌、菌類、原生動物,節足動物,線虫などの生物が住みかとし,分解者として活動しています。糞上に発生する菌類の移り変わりはおおまかに、接合菌→子のう菌→担子菌となっています。これらは草食動物よりタヌキ等の雑食動物糞に顕著に出現するようです。動物糞は菌類の遷移観察に適材です。
かつて、マッシュル−ムの栽培に馬糞が利用されたり、サケツバタケやササクレヒトヨタケのような優秀な食用菌も発生します。また,最近では牛馬糞周辺に発生する催幻覚性の毒キノコが注目されています。身近な動物糞に発生する美しく魅力ある糞生菌の観察に、一人でも多くの方が挑戦なされることを期待しています。身近な動物糞に発生する糞生菌を観察、報告させていただきますので、皆さまのご指摘、ご指導よろしくお願いいたします。
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